依存から抜け出せない理由|意志の弱さではなく主体性の喪失

依存 抜け出せない 理由|意志の弱さではなく主体性の喪失 メンタルヘルス

夜9時ぴったりに、1本目を開けていました。

ストロングゼロの500ミリリットル。アルコール度数9パーセントのものを、10本。毎晩です。誰かと飲むわけではなく、ずっと一人でした。

やめたのは、意志が強かったからではありません。体が先に音を上げたからです。

この記事では、そこからの数年間を書きます。2年半やめられた話と、また戻ってしまった話の両方です。きれいに断ち切れた、という話ではありません。

夜9時ぴったりに始まる生活

10本という量

時間が決まっていました。夜の9時です。少し早くても遅くてもいけませんでした。

そこから10本。自分では、そういうものだと思っていました。多いという感覚もあまりありませんでした。

今になって数字を見ると、そういう量ではないと分かります。けれど当時の自分には、それが普通の夜でした。

酔うと、知らない人と喧嘩していた

いま思い出すと一番恥ずかしいのは、これです。

酔うと、通話のアプリを勝手に入れていました。そして知らない人と話しては、喧嘩をしていました。そんなことばかりしていました。

翌日、何をしたかを思い出して、自己嫌悪がものすごいことになります。そしてその気持ちを消すために、また夜9時になる。その繰り返しでした。

失敗は他にもたくさんあります。ただ、この件が一番自分を痛めつけました。

お金はどこから出ていたのか

引きこもっていたので、収入はありません。

今振り返っても、なぜあの量を買うお金があったのか、自分でも分からないくらいです。思い出せるのは、家にあるものを売っていたことくらいです。自分の使わなくなったものを、ひとつずつ手放していました。

お金の面でも、ずいぶん苦しかったです。

やめたのは、決意ではなかった

朝、体の震えが止まらなかった

ある日の朝、目が覚めた瞬間から体が激しく震えていました。

寒気がして、嘔吐が止まりません。いつまでも治まりませんでした。

あのときの体の反応が、私にとっての区切りになりました。もう無理だ、と頭ではなく体が言っていました。決意して立ち上がったのではなく、続けられなくなっただけです。

あれは離脱症状でした

あとで知ったのですが、あの震えと寒気と嘔吐は、離脱症状と呼ばれるものです。

体がアルコールのある状態に慣れてしまっているところへ、急にアルコールが抜けると起きます。

ここは、はっきり書いておきます。私は結果的に何事もなく済みましたが、これは危ない症状です。人によっては、けいれんを起こしたり、意識がはっきりしなくなったりします。命に関わることもあります。

毎日たくさん飲んでいる人が、自分の判断で急にやめるのは、本当は危険です。私と同じやり方を勧めるつもりはありません。もし今その状態にいるなら、やめる前に医療機関に相談してください。

専門の病院でもらった薬の話

4種類もらいました

私は、アルコールの専門病院にも行きました。

そこでは、きちんと薬を出してもらえました。飲みたい気持ちを抑える薬。飲むとすぐに具合が悪くなる薬。離脱の不快感を抑える薬。それと睡眠薬です。

普通の病院では、こういう薬は出てきませんでした。専門のところに行って初めて、こんなに選択肢があるのかと知りました。

私には効きませんでした。それでも行く価値はあります

正直に書きます。私には、どれも効きませんでした。

飲みたい気持ちは抑えられませんでしたし、他のものも同じでした。結局、薬を使うのはやめました。

ただ、これを読んで「薬は意味がない」とは思わないでほしいです。

薬が合って、そこから抜け出せた人はたくさんいます。合う合わないは体質や状況によります。私に効かなかったというだけの話です。

それに、専門の病院に行く価値は薬だけではありません。この状態が意志の問題ではなく、扱い方のある病気として見てもらえる。その一点だけでも、行く意味があります。近くの病院で依存症ですねと言われて終わるのとは、まったく違いました。

もし今お酒のことで困っているなら、どれだけ遠くても専門のところに行く価値は大いにあると思います。

2年半やめて、また戻りました

引き金は「ちょっとくらいなら」

結果として、私は2年半やめることができました。

戻ったきっかけは、たいしたことではありません。身内にお酒をたしなむ人がいて、その習慣を近くで見ていただけです。

ちょっとくらいならいいだろう。そう思いました。

そして少しずつ増えました。一度に戻ったわけではありません。徐々に、です。気づいたときには、また元の場所に近づいていました。

やめたり戻ったりを、何度も繰り返しています

正直に書くと、今も行ったり来たりしています。やめられたり、やめられなかったり、続いたり、続かなかったりです。

以前は、一度でも戻ったら全部終わりだと思っていました。2年半が消えた、と感じていました。

今はそう思っていません。戻ることがあっても、また離れればいい。その繰り返しの中で、離れていられる期間が少しずつ延びていけばいい。そう考えるようになりました。

ゼロか百かで見ている限り、一度の失敗で全部投げ出すことになります。それが一番危ないと思っています。

依存していたのは、お酒だけではありませんでした

ボールペン、タバコ、資格の勉強、前髪

振り返ると、私はいろいろなものに依存してきました。

強迫症のような形で、ボールペンを次々に消費していた時期があります。タバコにも依存していました。

資格の勉強もそうでした。勉強そのものが悪いわけではありませんが、私の場合は劣等感を埋めるためにやっていました。何かを身につけたかったというより、何も持っていない自分に耐えられなかったのです。

ストレスを抱えているとき、前髪を切る癖もありました。鏡の前で、少しずつ切っていました。

埋めようとしていた穴は、同じでした

対象はばらばらですが、やっていることは同じでした。

そこにある苦しさを、別のもので一時的に上書きしていただけです。上書きしている間だけは楽になって、切れるとまた戻る。だから次を探す。

お酒をやめても、別のものに移っただけの時期がありました。本当に扱わなければいけなかったのは、対象ではなく、その下にある穴のほうだったのだと思います。

意志の弱さではない、という意味

依存は、意志が弱いから起きるものではありません。これは自分をかばうために言っているのではなく、そう考えないと抜け出せないからです。

自分を責めると、その苦しさから逃げるために、また同じものに手が伸びます。責める、苦しくなる、手が伸びる、また責める。この輪が止まりません。

止めるには、まず責めるのをやめる必要があります。順番が逆なのです。やめてから自分を許すのではなく、許してからでないとやめられません。

私が今も行ったり来たりしながら続けていられるのは、戻った自分を責めきらないようにしているからです。

おわりに

夜9時に10本開けていた頃の自分に、今の状態を伝えても信じないと思います。

あのときは、これが一生続くものだと思っていました。実際には、2年半やめられました。そしてまた戻りました。そしてまた離れようとしています。

まっすぐ良くなった話ではありません。行ったり来たりの記録です。それでも、行ったり来たりしている限りは、まだ終わっていません。

最後にもう一度だけ書いておきます。毎日たくさん飲んでいる方が、自分の判断で急にやめるのは危険なことがあります。やめると決めたときこそ、専門の医療機関に相談してください。遠くても、その価値はあります。

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