
年金の受給額はどう決まる?今から知っておきたい老後の資金計画
年金制度について詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか。なんとなく「年金はもらえないかもしれない」と感じている人もいるかもしれません。しかし、正しく理解すれば、老後の資金計画を立てるうえで欠かせないものだと気づくはずです。
年金の受給開始年齢によってもらえる金額がどう変わるのか。会社員とフリーランスでは、どのように年金の仕組みが違うのか。そもそも年金はどのように運用され、将来本当に受け取れるのか。
この記事では、年金制度の基本を整理しながら、老後の生活を見据えた賢い選択について解説します。
年金の受給開始年齢と金額
60歳・65歳・70歳の受給額を比較
年金の受給開始年齢は、自分で選ぶことができます。原則として65歳から受給する仕組みですが、60歳から「繰り上げ受給」することも、70歳まで「繰り下げ受給」することも可能です。
受給開始年齢を早めるか遅らせるかによって、1か月あたりの受給額が大きく変わります。基準となる65歳の受給額を30万円と仮定すると、次のような計算になります。
60歳から受給開始(繰り上げ受給)
- 月額:21万円(30%減)
- 65歳までに受け取る総額:1,260万円
65歳から受給開始(標準受給)
- 月額:30万円
- 65歳から70歳までに受け取る総額:1,800万円
70歳から受給開始(繰り下げ受給)
- 月額:39万円(30%増)
- 70歳から75歳までに受け取る総額:2,340万円
60歳から受給を開始すれば、早くからお金を受け取ることができますが、1か月あたりの金額は減ります。70歳まで待つと受給額は増えますが、その間の生活費を別の方法で確保しなければなりません。
受給開始年齢によるメリット・デメリット
どの年齢で受け取るかによって、老後の資金計画は大きく変わります。それぞれの選択肢のメリット・デメリットを整理してみましょう。
60歳から受け取る
- メリット:仕事を早めにリタイアしても収入を得られる。退職後すぐに資金が必要な場合に有効。
- デメリット:受給額が減るため、長生きした場合の総額が少なくなる。
65歳から受け取る
- メリット:標準的な受給額を確保できる。バランスの取れた選択肢。
- デメリット:特になし(標準的なため)。
70歳から受け取る
- メリット:受給額が大幅に増える。長生きするほど総受給額で得をする。
- デメリット:70歳までの生活費を自力で確保する必要がある。
どの年齢で受給を開始するのが得なのか?
「どのタイミングで受給を開始すれば最も得か?」という疑問は、寿命や生活費の計画によって変わります。80歳まで生きる場合と100歳まで生きる場合では、受け取る年金の総額が異なるためです。
- 80歳まで生きた場合:60歳開始が3,060万円で最大。
- 100歳まで生きた場合:70歳開始が5,460万円で、長生きするほど繰り下げの恩恵が最大化。
選択肢を決めるうえで大切なのは、「どれくらいの生活費が必要か」「何歳まで働けるか」「貯蓄や投資がどの程度あるか」といった要素を考慮することです。受給額だけを見て判断するのではなく、トータルのライフプランを見据えて決める必要があります。
会社員とフリーランスの年金の違い
厚生年金と国民年金の違い
会社員とフリーランスでは、加入する年金制度が異なります。会社員は「厚生年金」に加入し、フリーランスや自営業の人は「国民年金」に加入します。この違いが、将来受け取る年金額に大きな影響を与えます。
| 区分 | 厚生年金(会社員・公務員) | 国民年金(自営業・個人事業主) |
|---|---|---|
| 保険料負担 | 会社が半分負担(労使折半) | 全額自己負担 |
| 受給額 | 収入に応じて増加(2階建て) | 一律(1階部分のみ) |
会社員が得する理由とは?
- 会社が年金保険料を半分負担してくれる:実質的な自己負担を抑えつつ、将来の受給額を増やせます。
- 将来的な受給額が多い:昇給に伴い受給額のベースも上がる傾向にあります。
- 老齢厚生年金がもらえる:1階部分(基礎年金)にプラスして2階部分が支給されます。
フリーランスが老後に向けて準備すべきこと
フリーランスや自営業者は、受給額を補うための自助努力が不可欠です。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が全額所得控除になり、節税しながら資産形成が可能。
- 小規模企業共済:個人事業主のための「退職金制度」として非常に有効。
- NISA・積立投資:長期運用を前提とした資産形成。
年金は本当に受け取れる?仕組みと問題点
年金の運用はどのように行われているのか?
日本の年金制度は「賦課方式(ふかほうしき)」を採用しています。これは現役世代が納めた保険料が、そのまま今の高齢者の年金に充てられる仕組みです。加えて、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が国内外の資産で運用を行い、将来の財源を確保しています。
年金制度の課題と将来への影響
少子高齢化、受給開始年齢の引き上げ検討、マクロ経済スライドによる実質的な減額など、制度には多くの課題があります。公的年金は「破綻」することはありませんが、「受給額の調整」は避けられない現実です。だからこそ、国の制度を正しく把握した上で、個人の資産形成を組み合わせる戦略が重要になります。



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